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【時価総額1000億円企業でのIR活動】IPO実現のため伴走する公認会計士社長!

【時価総額1000億円企業でのIR活動】IPO実現のため伴走する公認会計士社長!

アイスリー株式会社、代表取締役社長、金誠智さんです。
IPO準備から上場企業のIR担当など幅広くご活躍をされております。
現在は代表取締役としてIPOを「楽」にするをパーパスにアイスリー社の今後の展望まで詳しく伺っております。

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プロフィール
企業名
アイスリー株式会社
出演者
CEO

代表取締役

金誠智

アイスリー株式会社
https://i-3.co.jp/
経歴

2007年11月 大学在学中に公認会計士試験 合格
2009年3月 有限責任者監査法人トーマツ 長野事務所 入所
2012年10月 トーマツベンチャーサポート 長野リーダー 任命
2014年6月 株式会社リプライス 経営企画室長 入社(IPO準備担当)
2016年3月 リプライスの株式100%をカチタスに譲渡(M&A 売り手) 
2017年4月 株式会社カチタス IPO準備室長(IPO準備担当)
2017年5月 カチタスの株式34%をニトリHDに譲渡(株式一部譲渡 売り手)
2017年12月 東証一部上場:グローバルオファリング(IPO)
2018年4月 株式会社カチタス 経営企画室長 兼 内部監査室長(IR担当)
2018年4月 株式会社リプライス 管理部長 兼 経営企画室長
2020年9月 アイスリー株式会社 設立 代表取締役 就任

インタビュー記事



オープニング

株式会社IR Robotics社長のキムです!
本日のゲストは、IPO準備中企業向け管理ツール「はじめのIPO(いっぽ)」を提供する、アイスリー株式会社代表取締役、金誠智さんでございます!

よろしくお願いいたします!

来ましたね!ついにこの日が!

巻き込んでいただいてありがとうございます。

収録するきっかけを遡ると、始めて知り合ったのは11年前の2014年なんですよ!

そうですね!

同じ在日コリアンで、11年前の知り合った時から、僕が3つ先輩で
下の名前で呼び捨てにしながら今日まで来てるわけなので、今日の収録もどういうスタンスで行こうか話をしましたが、いつも通りでやろうと笑

いつも通りやりましょう!
ソンジュ兄さんでやらせていただきたいです!

ソンジとソンジュでややこしいのに、苗字も同じだし笑

IPO関連やってますし笑

金 誠智さんの経歴

ここからは、ソンジのキャリアを聞いていきたいと思います!

公認会計士のキャリアを積み、その後、トーマツ監査法人入社。
そして、上場準備中ベンチャーに転職し、転職先のベンチャー企業が買収されて一緒になった会社がIPOを実現。
しかも、グローバルオファリングという…

なかなか珍しい経験をして、上場会社のIR担当と経営企画をするという!
在日コリアンの仲間の中でも、なかなかそういうキャリアを積んでいる人っていないよね?

そうですね!
在日コリアンとして、会計士という特殊な経歴を持っていること、その中でもグローバルオファリングに関わる経験も積んできました。
特にIRについては、時価総額1000億円を超える企業で担当させていただいているので、非常に貴重な経験をさせていただいています。

若い頃からさまざまな経験を積ませてもらい、前職の皆様には本当に感謝していますし、今までの経験を通じて支えてくださったすべての方々に感謝の気持ちを忘れずに今までやってきました。

いや~綺麗なこというね。笑

今日は、前半はソンジのこれまでのキャリア、公認会計士を目指すきっかけから、独立するまでの間のサラリーマン時代のお話を聞いていきます!
後半の方では、現在、アイスリー株式会社で提供している、IPO準備中企業向けの管理ツール「はじめのIPO」についてお話しできればと思います。

「はじめのIPO」は上手いことつけたね!

名前が降ってきましたね!

降りてきた?笑

最初ダサいカタカナ文字を作ってましたが、いろんな人と話していたら、分かりづらいよねって話をしていて。
その時にスッて降りてきましたね!!

今は、「はじめのIPO」を提供しながら企業向けにIPOのアドバイスもいているんですよね!
その話は、後半でお話しできればと思います。

みなさん、初めて聞く話も多いのではないかと思いますよ!

そうですね。
あんまりキャリアのところは、詳しくお話してきていないので…

公認会計士になった理由

そうだよね!

最近は、ほぼ朝サッカーばっかりだったので、今日は楽しみにしてました!笑
キャリアのところからちょっと聞いていきたいと思います。

まずは大学在学中の2007年に公認会計士試験合格!すごいよね!

いえいえ!
最多合格したっていう年でもありましたが、1年生の時から勉強を始めて3年生で合格できて。
さらに同じ学校ですけど全寮制の大学から大原に通いっていう風な感じで!

八王子とか?

立川でした!
なので、勉強時間が確保出来てなかったので、流石に1発合格は厳しいかなと思いました。
1発で受かれたのは本当にありがたいことでしたね。

そもそも公認会計士になりたかった?

最初は税理士になりたかったんです!

自分の叔父さんが会社を経営していて、親は在日コリアン系の学校の先生でした。
当時、あまりお金がなくておじさんからお小遣いを頂く、みたいな状態でした。

なので、税理士になれば叔父さんに貢献できると考えて、税理士の勉強をしようと思いました!

その叔父さんが会社をやってた?

やってました!

今もしっかり事業をやられてるんですね。
叔父さんの事業に貢献するために税理士を目指すっていう話をしたら「会計士を取ったら税理士付いてくるよ」と話をいただきました。

2個取れるみたいなね!笑

そうです!
当時は「マネージメントアドバイザーサービス」のような内容が書かれていて、経営者と共に成長を支援するという点が魅力的に感じました。
税務業務よりもこちらの方が面白そうだと思ったのがきっかけで、会計士一本で目指す道を決めたという感じですね!

税理士よりも、もう少し上のレイヤーをやられているんだろうなってことですよね?

そうですね!

その流れで会計士を目指してみよう!となったんですね!

よく分かってなかったです。上場会社とか監査とか全然知らなくて…笑

というのも、公認会計士っていうのは上場企業を見ることができて、税理士ってのはそうではないっていう。
30歳手前ぐらいまでは知らなかったね。

大学生で会計士の資格を一発合格で取ったら、モテるのかな?と思っていたら、一切モテなかったです。笑
なぜなら、会計士よりも税理士の方がすごいと思っている人が多かったみたいです。
大学のみんなは会計士の存在を知らないんですよ…!

ほんとはドヤれるのにね。笑

そうですね!
ただ、全寮制だったのですが、学校にあまりいなかったので、ちょっといじられたりはしましたけどね。笑

トーマツに入社した理由

最初のキャリアは、有限責任社監査法人トーマツ!

そうですね。
当時の勉強仲間から、BIG4の中だとソンジはトーマツっぽいよねと言われおりまして。

その公認会計士目指した仲間から?

実際のところ、トーマツを選んだ理由は、会計士を目指した仲間から言われただけなんですよね。
でも、受かった後もリクルート活動をしていく中で、最終的にトーマツの社風が自分に一番合いそうだと感じました。

トーマツがよくいわれている「体育会系」と言われる風土が自分に合っていると思ったのと、元々中小企業の支援をしたいという思いはありました。
だから、東京の大企業のクライアントを監査するよりも、地方のセクター(小売業や製造業、金融、医療など)を幅広く見られる地方事務所が自分に合っていると思い、長野県の事務所を自分から選んで入りました。

長野事務所、自ら挙手して!?
結構通るもんなの?

そうですね。

トーマツの採用は、北海道なら北海道事務所、大阪なら大阪事務所といったように、事務所ごとの採用だったので、東京事務所に必ず配属されるわけではないんです。

だから、自分が行きたい事務所に直接オファーを出す形になるので、私は最初から長野事務所を選んでいました。

出身は東京?

東京の八王子です!

長野事務所に入所して実際どうだった?

金融部門では東京では金融に特化してひたすら金融業務を行うことが多いのですが、私は金融専門ではないにもかかわらず、金融機関の自己査定や融資先の破綻懸念先など、さまざまな査定業務を担当させていただきましたね。
その上で、金融機関の査定が正しいかどうかを監査する手続きにも関わることができました。

また、医療法人や公会計を担当することもあったのですが、正直なところ、医療や公会計の分野にはあまり興味を持てなかったのが本音です。
それらの経験を通じて、自分のキャリアの中でやりたくない分野を明確にすることができ、逆にそれをキャリアから外すことができたのは良かったと思っています。

なぜ医療や公会計の分野はやりたくないと思ったの?

会計処理が少し複雑な部分があるというのと、元々は事業を行っている会社を支援したいという思いがありました。
でも、公会計となると、どうしてもパブリックセクターやお役所仕事の方々を相手にすることになるので、少し自分が思い描いていたものとは違うなと感じました。

その中でもありがたいことに、メインは製造業を担当していた長野事務所で、他にもサービス業のIPO準備なども担当させていただきました。
これらは東京ではなかなか経験できなかったようなことですし、5人のチームで主力メンバーとして監査を行うという貴重な機会をいただけたことはありがたかったです!

1つの事務所を会社に例えるならば、東京が中堅企業だとして、長野事務所は本当にベンチャースタートアップみたいな感じ?
色々やらなきゃダメっていう意味でやらせてもらえるみたいな?


そうですね、手を挙げれば何でもできると感じでした!

じゃあもう行ったこともなく、住んだこともないような長野に?

初めて行って家探しから、自分いま東に向かってると思ったら西だったとか、そんな感じでした笑笑

なるほど!!
これもちょっと気になったのが2009年の3月にトーマツに入社して、2012年の10月にトーマツベンチャーサポート長野リーダー任命!
これはどういうことで?

まさしく、トーマツベンチャーサポートは一度活動が少なくなっていた中で、斎藤祐馬さんが改めて再始動してくださりました。
その時私は、サムライインキュベートの榊原さんと一緒にピッチ活動をしていて、活動自体は東京で行われていたのですが、ある時、長野でやってみないかということで任命されました。
監査業務を100%こなしつつ、その合間にベンチャーサポート活動も行っていました。

業務を何か減らしてやるんじゃなくて、アドオンする感じで笑

なかなか長野だとベンチャーがあまりなくて、売上を立てれなかったので。
社内的にはこのベンチャー支援活動を趣味ですって言ってたくらいですね!

厳密に言ったらその期待されてる業務の外、ってことだよね!

そうですね!

この経験はどうでした?

あっ、でも、辛口で言われた言葉もあって…

誰から?

ベンチャー企業さんから言われましたね。
トーマツで監査を担当していると、大手企業ばかりを見ているという印象を持たれがちで。
その中でベンチャー支援をしていると、少し厳しい意見もいただきました。
「金さんのお遊びに付き合ってる暇はないんだよ、こっちは」と言われたこともありましたね。

ベンチャーの社長から?

本気でやっているつもりだったのですが、今振り返ると、トーマツという大きな看板を背負って、「盛り上げる」と言っていても、実際にはそこまで深く踏み込めていなかった部分が見透かされていたのかなと感じています。

「興味本位な部分もあるだろう」みたいな?

今振り返るそんな指摘も受けたなと。血となり肉となり今って感じですね!

リプライスに転職した理由

2009年にトーマツに入社し、その後、2014年6月にトーマツを退職して、当時上場準備中であった株式会社リプライスに入社。
リプライスは何屋さんでしたっけ?

岐阜発祥での企業で、中古住宅を仕入れ、リフォームして販売するというビジネスの会社でした。
現在は名古屋を拠点に活動しており、戸建てを中心に全国展開を進め、最終的には上場を目指すフェーズにあります。

これはどういうきっかけで?

トーマツベンチャーサポートとして、事業計画策定勉強会をやっていまして、『先輩経営者から学ぶ』というセッションがありました。
その時に、当時のリプライスの星山社長が登壇されていて、業績が良く、IPOを目指しているという話を聞き、営業に行ったのがきっかけです!

トーマツと契約しませんか?ってこと?

そうです!監査しますよと!
長野からわざわざ営業しに行きました。笑

名古屋まで?

そうです!
営業訪問の3回目ぐらいの時に「もう営業しなくていいよ」って言われて失注したかと思ったら「うち来ない?」って言われたんです。
いわゆるミイラ取りみたいな感じなんですけど!
リプライスに興味もあって、ちょうどキャリアも変えたいなと思ってた時だったので即決でした。

公認会計士の皆さんは、5年くらいで悩む人が多いの?

そうですね、3年、5年、10年ぐらいのターンで悩みますね。

何かあるの??

3年目くらいで監査手続きについては一通り理解した気になり、5年目くらいになると昇進や昇格のことが少し気になり始めますね。
ありがたいことに昇進や昇格はさせていただいていたのですが、そろそろ東京に戻りたいという気持ちもあり、その中でキャリアチェンジを考えるようになっていました。

そんなタイミングで声をかけていただき、名古屋ではありましたが思い切って行くことにしました。
名古屋ではキャリアアップを目指して、IPOを目指す企業で業績が良いことも分かっていたので、「ここだ!」と思い、選ばせていただきましたね。

公認会計士の中でも、いつか事業会社に行きたいという方と、監査人の中でプロフェッションとして極めるんだという方、分かれてくるよね。

そうですね。
比較的、会計監査の方が好きな方は落ち着いた性格の方が多いのでやっぱり監査法人がいいよね、と思っている人もいらっしゃいますし。

やっぱり、そういった中でパッショナブルな感じや、もっと違う変化を求めてると事業会社の方に行かれたり。
そういう分かれ方はするかなと思いますね。

金成柱さんとの出会い

まさに2014年頃に、僕がIR Roboticsの社長やる前にやっていた会社で、星山さんと出会ったんですよね。
オフィスに遊びに行くときに「金くんと同じ名前で名前も近い子紹介するよ」って言われたのがソンジだった!笑

あの時、個室の中で紹介いただいたのは鮮明に覚えてます!

でもソンジは昔から僕のこと知ってるみたいな?

そうですね。
大学の時、私が1年生の時に4年生で、有名人だったのでよくよく存じ上げていました。

カチタスに買収された裏側

その話、俺も結構覚えてて、カチタスに入社した約2年弱後、リプライスでは上場準備担当者として業務し始めた1年9ヶ月後くらいですかね。
なんとそのリプライスが当時同じく上場準備をしていたカチタスに買収されると!

リプライスでIPOを進めている中で、野村證券さんが主幹事を担当しており、2015年の10月か11月に中間審査に申請を申し込みました。
ちょうど同じタイミングで、星山社長から「金ちゃん、ちょっと面白い話があるんだけど」と声をかけられましたね。
星山社長は私にだけ相談をしていました。

社長からは「ちょっとM&Aを考えていて、カチタスという会社が買いたいと言ってきてるんだけど、どう思う?」と話されました。

私もカチタスのことは同業でずっとベンチマークしていたので、有価証券報告書も昔からチェックしていました。
カチタスが再上場案件だったこともあり、個人的には注目していた企業だったので、私も「どうするんですか?」という感じでした。

星山さんはソンジにしか言ってなかったんだ。

その時は私にしか相談してないですね。

星山さんからめちゃくちゃ信頼されてたからね。

本当にありがたいことに!

全幅の信頼を置いてたよ。

さすがに最後の株式譲渡契約書は「社長、さすがにこれだけは見てください」とお願いしました。
ひたすらチェックをして「最後にここだけは絶対に確認してください」と伝えたのですが、社長は「金ちゃんが見てるんだったら大丈夫だよ」と一言。
株式譲渡契約書ですよ!笑

しかもほぼあなたの株だよ?みたいな笑

100%オーナーです!
その分責任持ってやりますけど、足が震える思いしながらやりましたね。

メディアには推定でおいくらぐらいって出てはいるんで。
数十億円の契約書をオーナーが見ないっておもしろいね笑

「見てるんやろ?」って言われるので、「見てます!細かく見てます」と!
「懸念される事項は今までお伝えした通りです。でも一回は通しで見てくれませんか?」と伝えるのですが、「まぁええわ」って。笑

カチタスでの立ち位置

リプライスで上場しようと思っていたところ、買収されて、処遇がどうなるかみたいなのは、本当にアンコントローラブルだと思うんですけど、、、
なんとカチタスに入って、上場準備担当にアサイン!

いやこれは本当にありがたかったです!

星山社長が「金は上場担当にしないと辞めるぞ」と言ってくれていたこともあり、本当にありがたかったと思っています。
しかし、正直なところ、リプライスで上場したいという気持ちもあったので、売手側のカウンターパートとしては、より高く売るために、条件を良くするようかなりカチタスのボードメンバーと議論を重ねました。
もしそれで「カチタスに入りました」と言ったら、村八分にされても仕方がないと思いました。

リプライスの社長のためにやっているという気持ちで進めていたのですが、結果的にカチタスで吸い上げていただくことになり。
正直、村八分にされるのかと思っていましたが、カチタスの役員の皆さんも懐が深く、IPO準備が進む中で「金さんがやらないと前に進まない!!」と、オファーをいただいたので、ありがたくお受けしました。

先方からの意志並びに水があって良かったよね〜

売り手と買い手の対応を真摯にやっていたということが、良い意味で評価されていたみたいです。
カチタスの役員の皆さんが、私の立場での対応や意図を理解し、受け入れてくださったことがよかったです。
今も引き続きお仕事をさせていただいていますが、本当にありがたいと感じています。

カチタスの当時IPO準備担当者というのはいた?

いやいなくてですね。
経営企画室長はいましたが、どちらかというと経営企画的な補助業務とかをやっていたので、IPOでいう決算組むのはできる人がいました。
でも、いわゆるIPOプロジェクト全般の担当者はいませんでした。

なるほど!
ソンジ的にはよかったね!

ありがたいことにという感じで!

その流れで約1年後にカチタスのIPO準備室長になると!
室長ってなんか格好いいよね!

当時のカチタスは結構室長代理とかをつける文化がありましたが、ダイレクトに室長にしていただいたのでありがたかったですね!

この時のカチタスのIPO準備ってどうだった?
結構な規模感あった?

そうですね。
上場時の時価総額は約650億円で、売上もそれに近い600億円程度ありました。
でも、再上場ということもあり、カチタスのIPO準備段階ではすでにある程度の基盤が整っていたので、プライベートエクイティファンドであるアドバンテッジパートナーズが100%株を保有している状態でした。
なので、PEファンドとしてはやはり高い価格で売却したいという意向が強かったです。

それは力学的にね!

そのためにグローバルにインフォメーションミーティングとか海外まで行ったりとかっていうのもやったりしてて、もうグローバルオファリングなる英語とかも出てくるので、正直めちゃくちゃ大変でしたね。

グロースに上場するほとんどの会社は、上場承認が降りてから投資家回りをするけど、規模が大きいから上場承認の全然前から投資家とコミュニケーションみたいな!

2017年の1月頃に1回目、5月頃にもう1回のロードショーが本チャンとして行われたと記憶しています。
海外も含めてインフォメーションミーティングを実施し、国内だけで行うべきか、グローバルで行うべきかを検討していました。
結果として、グローバルで行う方が評価が高かったため、グローバルオファリングという形になりましたね。

壮絶なIPO準備の裏側

ちなみにIPO準備室に就任したすぐあたりかな?
カチタスがなんとその株式の34%をニトリホールディングスに譲渡!

PEさんのファンドの期限もあり、一部譲渡しなければならないタイミングだったこともあって、実際に私もいくつかの証券会社を通じて、複数の企業に買ってほしいという話をいただき、同席させていただいたこともあります。
その動き自体は認識していましたが、最終的にどこを選ぶかは分かりませんでした。
ただ、直前にはさすがにその方向性を認識していたので、急にというわけではなく、もともと認識していたニトリさんに持っていただいたということです。

そこの業務にも入ってたわけでしょ?

そうですね、DD業務入ってました。
グローバルオファリングの。

何でもやらされるやん!笑

主管事業部のグローバルオファリングの上場準備のDD受けます、ニトリさんとかそれ以外のDDも受けます、っていう感じでした。
かつ、IPO準備も進めないといけないので、申請書類系は全部自分が作って、審査対応も全部ほぼ自分が窓口やっててやってたんで大変でしたね。

すごいよ!
なかなか出来たもんじゃないと思うけど。

グローバルの人って弁護士法人とかも結構付いてきますよ。
JGC(ジョイントグローバルコーディネーター)で大和、みずほ、モルガン、三菱みたいな感じでついてくるのは、審査がとてもきつくてしっちゃかめっちゃかでした。

もうバキバキの金融の人たちとも渡りあえちゃう!

いやさすがにそこまでじゃないですけど笑
対応させていただいたって感じですね。

上場した後の裏側

で!
晴れてイベントを終えた約7か月後ですか。
カチタスが東証一部に上場!(グローバルオファリング)
これ調達どのぐらいしたの?

調達実は1円もしないんですよ!

もう売り出しのみ?

PEが上場を最初のタイミングで全部売り切りっていう感じなので、カチタス1円も調達してないです。

しなくてもよかったって感じがあるね。

財務基盤はしっかりしてたので借入もしっかりできていましたし!

ソンジと再会した時、まさにその「グローバルにグローバルオファリング」ってテーマで、うちの上場準備中企業向けにセミナーをしてくれませんか?ってオファーをして。

そうですね、ありがとうございます!
2020年に独立してすぐセミナーの機会をいただいたので、本当にありがたいなという風に思っていますね。

この時の経験を話してもらったと思うんだけど、これ結構大変だったわけでしょ?

本当にこれよく話してるんですけど、ずっと大変過ぎて本当に8時から3時まで働くみたいな。
これを半年ぐらい続けててたので、夜12時とかに帰ると早いなとかと思ってたくらいで。

そんな状態で働いてまして、辛いけど「上場の鐘鳴らしたい!」と思っていたので、それで上場の鐘を鳴らしたら...
世界に色が戻ったんですよ!
辛すぎてもう世界がもうグレーというか灰色に見えてて、目的達成した瞬間に色が戻りました。

あれ鮮明にめちゃくちゃ覚えてるんですけどそれぐらい大変でしたね。

その時は良くも悪くも麻痺してた状態で業務をやり続けたと!

潰れる直前までいってたなと思ってますし、ぶっちゃけあまりにも辛かったですね。
カチタスの元々プロパーの経営企画室長リプライスの経営企画室長としての兼務もしながらやってました。

でも、2017年12月に上場してそのカチタスにプロパーにいた経営企画室長の方が、2週間後から休職に入っちゃって復帰できず1回辞めて、もう1回戻ってきてくれたんですけど私もメンタル崩したくなかったのでギリギリのところでしたね…

ソンジは真面目で気合も入ってるからな...

2018年の4月にリプライスが、カチタスの子会社になったわけだけども「カチタスの経営企画室長兼内部監査室長(IR担当者)」と「リプライスの管理部長兼経営企画室長」、2社で4つの役職!

実際にやってましたね!
もちろんできないところはちょっと分担したりというのはやってましたけど、実際それぞれの職務をやってましたね。

でもIPOするか、飛ぶかどっちかのギリギリだったもんね。

ギリギリだったのでIPO準備がなくなって、IRのウェイトは大きくなりました。
それでもやっぱり人手が足りないところは私の方でやっていました!

IR業務への想い

持ち上げるわけじゃないけど、公認会計士のキャリアから次にTHE金融の視点、つまり投資家の視点を理解してIR担当になれる人ってほぼいないし、
上場準備担当してた人が見事に変化したイメージがあって!

ありがたいことに比較的明るい性格で、財務とかそのキャリアの中で築けてたので。
今よく言っているのはIRの中の人は社長の代弁者なので、熱持って語らないとダメとIR担当者が言うんですよね。
自分はたまたまそういうパーソナリティーだったっていうのはありますね。

すごいね。
だから天職というか。

IRめちゃくちゃ楽しいですね。
IPOももちろんすごく好きなんですけど、今もカチタスのIR担当を業務委託という形でやらせていただいてますけどめちゃくちゃ楽しいですね。

10何年前からの付き合いで、どれくらいソンジのバリューがあるのかみたいなのって正しく把握してるような、してないような。
サッカーばっかりしてたんで。笑
仕事柄国内のファンドマネージャーの人たち知り合いも多いけど、その中の何人かから「カチタスの金(ソンジ)がイケてる」と聞いていて。
ソンジが独立した後には「カチタスちょっと大丈夫か?」という話が出るくらい。「そんなにすごいの?!」みたいな笑

辞めることを仲良かったファンドマネジャーアナリストの方々に伝えると、「カチタスは大丈夫なの?」と言われました。
辞めてからもカチタスのIR業務はやっているので、結局は大丈夫でしたが、
それくらい当時は、投資家の皆様にも不安を与えてしまったのかなと思っていました。

アイスリー設立への思い

2000年9月にカチタス上場してから約3年ですかアイスリー設立!
もともと起業してみたかった?

そうですね。
もともと独立心は強かったのはあったんですけど、やっぱりただ独立するのではなくて、という思いはありました。
特にリプライスでは、ゼロイチでIPO準備をやったので、カチタスに転職するときは、「IPOの支援も結構ハンズオンでやっていたし、私が入社すれば余裕でIPOできる!」と勘違いして入りました。
でも本当のIPO準備の全体像は、わからなさすぎたんですよね。。。

公認会計士の人たちはちょっとそういう部分あるよね。

いわゆる会計士の会計監査の部分はわかったんですけど、証券審査の部分が分からなかったんですね。
証券審査がわからないというところは解消した方がいいよねというところから始まり、IPO支援ツールを作る、ということで起業したっていう感じですね。

もうピンポイントでそこをやろうと?

リプライス時代の、反社チェックもやったことない、未払い残業代もたくさんある、過年度たくさんいる、みたいなそんな感じのところを解決したいと思ってピンポイントで作りましたね!

起業後の苦労

そのサービスをやりたいって独立して、開発に1年~2年ぐらい?

なんだかんだですね...4年ほど…
まず独立して半年間は、カチタスの業務委託を受けながら、エンジニア探しから。真面目だったんで独立するまでカチタスで100%やってました。
自社の売上とか、自身の給与的な場合とか何も考えずにやっていました。
当時でいうとキャリアをそれなりに積ませていただいたので、独立すれば声かかるかなって感じがあったんですが、今でこそもう完全に人との繋がりでしかお仕事来ないなと思ってるので。

今もう受けられないもんね?

全然大丈夫ですけど!
当時は本「辞めたらもう仕事来るでしょ!」って思ってたんですけど全然もちろん来ないですし、THEコロナですし、人に会えないし、っていうので。
エンジニアを探して、半年で業務委託で発注をしたんですけどしっかりポシャりますしたね。
丸一年独立して作ったやつはローンチもせずでした。

振り出しに戻る。

そこで一緒にちょっとやってたエンジニアが開発してくれて丸2年ぐらいかかってて、今はちゃんとバグもなく、お客さま付けさせていただいてっていう感じですね。

はじめのIPO

去年ローンチっていう!
せっかくなので「はじめのIPO」がどういうツールかっていうのをちょっと具体的に!

メインとしてはショートレビューより前に使って頂きたいです!
「はじめのIPO」というのはそういう意味もあります。

ショートレビューで何にも準備できていない時に臨んで、監査法人さんにあの資料出して、この資料出してと言われて結局何も提出できない。
「何もできてないですね」っていう監査法人さんのテンプレート見たいな指摘を受ける状態になる。
これって監査法人さんが悪いんではなくて、なんの準備もしてなくてとりあえずショートレビューっていう風にやっちゃってるのが、会社として準備できてない。
ショートレビューより前に準備して置くべきことですね。

特にドキュメント!
株主総会の議事録、取締役会規定、稟議書作るフロー、反社チェックのフロー、DDを受けるための書類作りの支援をするツールですね。

管理ツール上で、何が不足している、何はもう提出済み。みたいなのが一元管理できると!

それをDDする側も一元で。

大体直近3カ年分出してくださいとか言われても、直近3カ年分が一覧で見えますし、基本的には会社が作っていけば作っていく程増えていく、それが一覧で見れるDD受ける側、する側も楽になるようなツールです。

上場準備周辺の人たちが案内してくれる可能性は十分にある。
それがちょっと始まってるってことだもんね。

いろんな方にお声がけさせて頂いたり、お話を頂くという感じでやってますね。

ちなみに企業からお金貰うわけだよね?

完全に準備会社の方からですね。

どのくらいの金額感で?

システム単独でいうと5万円です。
ただ、システム単独で使えるかといえばそうじゃなくて、伴走者が必要です。
それを私がコンサルしてます。
コンサル代は今月額20万円頂いていて、年間トータルで300万円。
ちょっと高いねと思われるかもしれないんですけど、
会計士とかを採用しようとなると紹介手数料だけで300万いっちゃうので。

我が社の人材紹介を使えば、少なくとも400万くらいは、手数料いただくことになるんで笑

監査法人のショートレビューも安くて150万から。

BIG4だと300万円くらいの金額感なので、それに比べると前に進められるツールとしては1回やってみても損はない。
実際にやってみて、無理だと感じた場合は採用を進めることはないので、その場合は辞めてもらう形になります。

一応、1年の契約縛りはありますが、「やっぱりうちにはまだ早かったね」と感じた場合、こちらがいなくなったとしても社員の採用はしていないので、特に損失はないかなと思っています!

そういうリスク面も考慮できるし。
そもそも会計士の採用が狭き門。

会計士の方たちがベンチャー企業に就職する志望がちょっと落ちちゃってるんで、そういう世の中だからこそ最初は「はじめのIPO」でやってみて。
会計士の人たちも何もできてないところに転職するのは不安なので、「はじめのIPO」が導入されていれば、もしかしたら転職しやすくなるかもしれないですね。

入ってみたら何もない状況でしたってなったら...
ガックリするもんね...

リプライスが本当にそうで!
子会社ないよって言われてたんですけど子会社9社。。。

「うち大体できてるから!」って言われて蓋開けてみたら、いやいや役員に奥様とお母様いらっしゃいますけど...笑
残業代払ったことない!?みたいな状態だったので当時は。笑

全部今はしっかりできてますけど!
そういう状態からなので、わからない苦しさがあるのでそれを解消していきたい。

そしてDDっていう観点から言うとさっきのキャリアおさらい頂きましたけどひたすらDDを受けているドMなキャリアなんですよね。
DDを受けることに関してだけで言うとそこらには負けないので。笑

DD受けベテラン。笑

税務調査もたくさん受けてるんで。笑

今後の展望

最後に聞きたいんだけど、「はじめのIPO」をどう成長させていきたいと思っていますか?

今の私の会社のパーパスは「IPOに楽を提供すること」です。
私自身も現在の仕事としては、IPOとIRにしか携わっておらず、事業計画を作成するような業務はほぼ一切受けていません。

この「IPOに楽を提供する」というパーパスのもと、最初のIPOがショートレビュー前に認知されるようになれば、ショートレビューをしっかり受けられる状態が整います。
そして、ショートレビューをしっかり受けられる状態ということは、会計士がいなくても自立・自走できる状態を意味します。
ブラックボックス化されていたIPO準備をオープンにして、IPOに楽を提供するということです。

まだ始まったばかりですが、これからもっと普及させていきたいと思っています。

ニッチだけど確かにある悩みであり、解決すべきものだよね。

会計士を入れたら何とかなるとは言えますが、実際には会計士がいない。
それでも、会計士を入れたからと言って、すぐにうまくいったわけではなく、バイタリティがあったからこそ何とかできたのかもしれません。
ゼロの状態から始めた場合、会計士が1人入っただけでは正直かなり厳しいので、だからこそ、先に経験のある人が準備を進め、私がこれまで使ってきたテンプレートも含め、実務に即した形で「この書類を作ってください」という指示を提供しています。

元々どこかにあったテンプレートをそのまま持ってきたわけではなく、実際にIPO準備を進めて上場した経験をもとに、テンプレート化したものです。
そのテンプレートは、できるだけ簡単に、無駄を削ぎ落として、実務に即した形にしたツールを提供しています。
要するに、ノウハウを「ばら撒く」ような形で広めていければと思っています。

確かに我が社もIPO領域の仕事やっているけども、何が起こるか、何が必要か何からやっていいか、本当にみんなわからない。

私のツールって実務担当者向けなので、経営者さんの方はマインドセットとか、関連投資者取引みたいなところは社長様しかできないところ。
ただ、実務のところは、やり方さえ教えればできる担当者さん実はいるので、会計士とかではなくても、そこを簡単にしよう、簡単にして差し上げて私、伴走支援やプロマネもしますので、そんな感じでやっていければと思っています。

ありがとうございます!
本日は、IPO準備中企業向け管理ツール「はじめのIPO(いっぽ)」を提供する、アイスリー株式会社代表取締役、金誠智さんでございました!
本日はありがとうございました!

ありがとうございました!

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